「歌の最後まで息が続かない」
「カラオケですぐ声がかれる」
「もっと歌がうまくなりたい」
など、お悩みの方におすすめなのがボイトレ(ボイストレーニング)教室。
とはいえ、ボイトレ教室と一口に言っても、あらゆる指導法や流派のようなものがあり、具体的にどんなことをするのか分かりづらいですよね。
そこで、ボイトレ教室を計6つ経験した筆者が、実際の経験にもとづき全てに共通していたレッスン内容を詳しくご紹介します!
ボイストレーニング(ボイトレ)とは?
ボイストレーニングといえばボーカルレッスンと混同してしまいがちですが、厳密にいうと違うものです。具体的に違いをみていきましょう。
そもそもボイストレーニングってどんなもの?
ボイストレーニングとは、呼吸法、声帯のコントロールのしかたを学び正しい発声方法を練習するもの。
目的によってボーカル向け、声優向け、日常での話し方を改善するものなどに分かれ、レッスン内容が多少異なる場合がほとんどです。
ボーカルレッスンとの違いについて
一方ボーカルレッスンとは歌い方に特化したトレーニングです。音程、メロディーやリズム、抑揚、ビブラートなど歌唱に必要な技術を中心に学びます。
ボイトレ&ボーカルレッスン形式が主流
では「歌がうまくなりたいならどちらに通えばいいの?」と迷いますよね。ご安心ください。わたしの経験上、歌唱を目的としたボイストレーニングではほぼ全ての教室で、両者をバランスよく組み入れたボイトレ&ボーカル形式を採用していました。
具体的に、45分間のレッスン内容を一例としてあげると、
- ストレッチと呼吸法の練習:10分
- ピアノに合わせた発声法の練習 :20分
- 歌に合わせてボーカルトレーニング:15分
などです。
教室によってこれをボーカルレッスンとよんだり、ボイストレーニングとよんだりするので、教室選びの際は実際の内容をよく確認しましょう。
ボイストレーニング教室の具体的なレッスン内容
わたしが経験した6つの教室では、それぞれ内容や教え方、用語の使い方にまで違いがありました。
ここでは混乱しないように、全ての教室に共通したレッスン内容だけをとりあげます。
ブレスコントロールの練習
歌う時に大切なのが、正しい呼吸のしかたです。歌っていると息が続かなくなったり、曲の途中で声がひっくり返ったりしたことはありませんか?
それは正しい呼吸法を学ぶことで改善されます。
具体的には、以下の3点を中心に学んでいきます。
- 吸い方
- 止め方
- 使い方
呼吸法というと、腹式呼吸を想像される方も多いと思いますが、どちらかというと正しい呼吸法を身につければ自然と腹式呼吸になるという流れでした。
また、歌のなかではどの部分にブレスを入れるかを細かくチェックします。
発声のしかたを練習
呼吸と同じく重要なのは発声のしかたで、声帯のコントロールや口の周りと舌の筋肉の強化などを学びます。
以下は、主な内容です。いずれの場合もピアノの音階に合わせて行います。
基本の発声練習
低音から高音まで声の通り道を意識しながら力を抜いて出す練習。
正しい声帯のフォームやコントロールのしかたが学べます。
エッジボイス
声帯を閉じてわずかな隙間から「あ”〜」という音を発声する練習。
これにより声帯を開閉する感覚がつかめて、無理なく響く声を出せるようになります。
また、息の使いすぎも防げます。
リップロール
唇を閉じたまま細かく震わせながら発声する練習法。
歌に必要な口の周りの筋肉が鍛えられ、息の吐き出し方を一定にする効果もあります。
タングトリル
巻き舌を連続的に続けて発声する練習法。
舌の筋肉を鍛えると同時に、発声の時に舌の力を抜く目的もあります。
ファルセットや地声、ミックスボイスの練習
声色や声の種類の使い分けを練習します。
どの名称も定義があいまいなので、よび方を学ぶよりも使い分けを学ぶものと考えた方がよいでしょう。
- ファルセット:柔らかく息を多く使った抜ける部分の多い声質
- 地声:声の種類でいうと声帯閉鎖がされていてよく響く声質
- ミックスボイス:一般的には地声とファルセットを混ぜたような声をいいますが、ほかの2種に比べても最も定義があいまいで正解はありません。
ビブラートやこぶし、しゃくりの使い方の練習
歌の表現力をより高めるための、細かいテクニックを学びます。
代表的なものは以下の通り。
- ビブラート:出したい音程を軸として声を細かく振動させ、波打たせる
- こぶし:演歌歌手がよく使う、うなり声のような声を一瞬だけに上下に揺らす
- しゃくり(ベンド):狙った音程よりやや低い位置から本来の音程に声をしゃくりあげる
- フォール:フレーズの終わりなどに音程を自然に落とし、切なさや余韻を表現する
実際に歌ってみて弱点を総合的に確認
ボイトレで学んだ内容を歌の中に落とし込みます。
実際に曲を歌ってみてできていない項目を洗い出し、集中的に修正していくイメージです。
リズムのとり方や強弱のつけ方、アクセントの意識のしかたも指導されます。
ボイストレーニング教室でできるようになった7つのこと
ボイトレ教室に通って身についた7つのことをご紹介します。独学よりも歌唱力を総合的高めやすいと思いました。
通る声が出せるようになった
正しい呼吸法と発声のしかたがわかると、無駄な息漏れがなくなり声帯の開き方が安定するので、声が通りやすくなります。
高音から低音まで無理なく出せるようになった
声帯のフォーム(開き方)が分かれば力を入れずに無理なく発声ができるようになります。
わたしの場合、長年ロックバンドのボーカルをしていたせいか楽器にかき消されないよう、力んで発声するクセがついていました。その結果、高い声を出すのが苦しくなっていましたが、力を抜くと同時に声の通り道を意識することで、低音から高音までスムーズに出せるようになりました。
歌の表現力が高まった
ファルセットや地声、ミックスボイスなどの使い分けができると、歌っているなかでも意識的に声色をコントロールできるようになります。
さらにブレスの入れ方、ビブラートやこぶしといった細かい技術まで習得すれば、歌の表現力がぐっと上がります。
リズム感がよくなった
普段意識しなければなかなか理解できないのが、リズムのとり方。曲に合わせて歌う際、リズムのとり方についても細かく指導されるので、リズム感覚が養われます。
滑舌がよくなった
リップロールやタングトリルでは口の周りと舌の筋肉が鍛えられるため、滑舌をよくするのに効果的です。
また日本語の発音では「あいうえお」の母音を意識すると聞き取りやすくなるといわれていますが、ボイストレーニングでも母音を意識した発声や歌い方の指導があるので、滑舌がよくなります。
耳がよくなった
歌の上達にはボイストレーニングだけでなく、曲をしっかり聴くことが重要です。
聴くといっても、単にメロディーと歌詞を覚えるだけではなく、細かいブレスやテクニックまで真似できるまで何度も聴きこむのが上達のコツです。
聴き方が分かって耳が良くなると、歌の上達が早くなります。
長時間歌い続けても喉が痛くならなくなった
カラオケで長時間歌い続けると、喉がガラガラになったという経験はありませんか?
それは喉を締めて無理に発声しようとする、いわゆる「喉歌い」になっているからかもしれません。
正しいフォームで声帯のコントロールができると喉に無駄な力をかけずに発声ができ、喉歌いが解消されます。
まとめ
ボイストレーニングについて、筆者が実際に経験した6つの教室の内容で共通していたことと、レッスンを通してできるようになったことをお伝えしました。
ほとんどの教室で、ボイストレーニングとボーカルレッスンを組み合わせたレッスンを実施しています。教室によってさまざまな指導法がありますが、自分にあったトレーニング法や、相性のよい先生を見つけるのが上達のコツです。
気になる教室を見つけたら、まずは体験レッスンを受けてみるとよいでしょう。
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