ミックスボイスを出すには、地声が裏声に切り替わる喚声点を理解し、ミックスボイスを出す感覚を体で覚えていくのが近道です。
この記事では、ミックスボイスの練習方法を3つのステップにわけてご紹介します。
Contents
ミックスボイスを練習する前に知っておくこと
ミックスボイスは難易度が高く、すぐに習得するのは厳しいです。
そのため、練習する前、練習しながらでも良く知っておく必要があります。
ミックスボイスを出す感覚を覚える
ミックスボイスを出す感覚は、個人差があります。
ある人が言った方法と他の人が言った方法では全く異なり、どちらが正しいのかと悩まされる場面もあるかもしれません。
結論から言うと、どちらも正解です。
ミックスボイスを出すための過程は同じように基礎練習を行わなければなりませんが、発声のコツに関してはしっくりきたものを選ぶとよいでしょう。
同じミックスボイスでも聞こえ方が違う
チェストボイスとファルセットを混ぜた発声とはいいますが、その成分の分け方次第で声に与える印象が大きく変化します。
チェストボイスの割合が多めのミックスボイスを出せば、地声と変わらないくらいの力強い発声ができますし、ファルセットの割合が多めのミックスボイスを出せば、綺麗ですっきりとした発声ができます。
同じミックスボイスでも全く違う印象の歌声になるので、自在に扱えるようになるのが一番望ましいです。
とはいえいきなりそこに目標を置くとかなり大変なので、まずは目標となる歌声を決めて、どのような声を出したいのかを決めてからそこを目標にしましょう。
ミックスボイスの練習STEP① ヘッドボイスを習得する
まずは、ヘッドボイス習得に向けて説明します。
ファルセット(裏声)をマスターする
ヘッドボイスの土台作りには、ファルセットの練習が必要になります。
ファルセットの習熟度が、ヘッドボイスの習得に直結します。
ファルセットを練習することで、高音の基礎となる輪状甲状筋を鍛えることができます。
「ホーホー」、「フー」などの言葉で、息漏れのあるピュアな裏声を使い、鍛えていきます。
ピュアな裏声を練習することで輪状甲状筋が発達し、高音を苦しまずに発声しやすくなります。
ヘッドボイスの感覚を覚える
ファルセットは身体の後ろ向きに声を出すイメージで発声します。
対してヘッドボイスは、頭の上に声を響かせるイメージで発声します。
ファルセットを響かせながら、そのまま頭の上まで持ち上げてみましょう。
すると、ファルセットに比べて芯のある力強い裏声がでるはずです。
この意識を持ちながら、練習をしていきましょう。
繰り返し発声して馴染ませる
感覚が分かれば、後は無意識でできるようになるまで繰り返し練習してください。
また、ヘッドボイスは息漏れが生じません。
ヘッドボイスができているか確認したい時は、発声時に手を置いて息が当たるか試してみてください。
手に息が当たるようであれば、完璧にはできていないことが分かります。
ミックスボイスの練習STEP② ミドルボイスを習得する
次に、ミドルボイス習得に向けて説明します。
チェストボイス(地声)とファルセット(裏声)を自在に扱えるようにする
ミドルボイスの習得は、チェストボイスとファルセットを自在に調節し、発声します。
地声・裏声の両方をマスターすることがミドルボイス習得の一番の近道です。
鼻腔共鳴を習得する
ミドルボイスはヘッドボイスを鼻腔で響かせて発声します。
そのため、鼻腔共鳴の感覚はきっちりと掴んでおかなければなりません。
鼻腔共鳴の練習はハミングがおすすめです。
ハミングは、口を閉じて鼻から「ンー」と声を出します。
ンーという声で震えて、鼻の響きを感じ取りましょう。
慣れてきたらハミングで好きな曲を歌って、鼻腔共鳴を感じて慣れてください。
自分の喚声点を理解する
チェストボイスとファルセットが切り替わる地点を喚声点といいます。
この喚声点がミドルボイスのスタートにもなります。
地声を無理に張り上げないようにまず喚声点を理解する必要があります。
また、喚声点付近の発声は難しいです。
プロの歌手でも、高音は得意だけど喚声点付近の中途半端な高音は苦手という方が多いです。
したがって、自分の喚声点の位置をしっかりと理解しておき、歌うときや練習するときに意識することを心掛けてください。
ミドルボイスの感覚を覚える
ヘッドボイスはファルセットの響きを頭の上に持ち上げるイメージと説明しました。
対してミドルボイスは、そこからさらに前方に向けて響きを作ります。
鼻がむずがゆくなってくれば、ある程度響きを前に持てていると思います。
ピンとこない方は、口を閉じて鼻から「ンー」とハミングをしてください。
そのまま口を開けて鼻を意識しながら声を出すと、同様ミドルボイスに近い感覚を得られます。

繰り返し発声して徐々に馴染ませる
ミドルボイスを出す感覚が分かれば、もうゴールはすぐそこ。
後は繰り返し練習することで閉鎖筋や輪状甲状筋が鍛えられ、どんどん力強い発声が可能になります。
最初は軽々しいミドルボイスでも、慣れていくうちに厚みのある声が出せるようになりますので心配ありません。

ミックスボイスの練習STEP③ チェストボイスを習得する
ミックスボイスを練習するためには、チェストボイスをマスターしましょう。
そのために必要な練習方法を紹介します。
声帯を閉じる練習
声帯を閉じる感覚は、エッジボイスを使います。
「ア”ア”ア”」とブツブツした音を鳴らしましょう。
このエッジボイスを練習することで、声帯の閉鎖筋が鍛えられ、芯のある声を出せるようになります。
音階トレーニング
チェストボイスは胸の響きが大事です。
少ない息でもしっかりと響かせる意識を持ちましょう。
また安定感も得るために、4度の音程を「マー」と発音しながらトレーニングを行いましょう。
ミックスボイスを出せない原因
ここまで練習してもミックスボイスができない!
そんな方はできない原因を探ってみましょう。
喉声が抜けていない
喉を開く意識が足りていないと、喉声になってしまっている可能性があります。
確かに声帯を閉める感覚は必要ですが、過剰に気にしていると結局発声自体よくなくなっていることもあります。
そういったミスが起こらないように、基本的な発声を学んでからミックスボイスの習得を目指すとよいでしょう。
力んでいる
喚声点を理解できておらず、張り上げて歌ってしまっている場合があります。
身体をリラックスさせた状態にすることが重要なので、力みをなくすよう意識してください。
力を抜きすぎている
逆にリラックスしすぎるのもよくありません。
声をどこに響かせるかということを意識しながら発声する必要があるので、脱力しすぎも禁物です。
地声または裏声が弱い
安定したミックスボイスを出すためには、チェストボイスとファルセットを同じくらい鍛えなければいけません。
どちらかが怠っていれば、負けてしまってうまく発声につながりません。
息を吐きすぎている
ミックスボイスは声帯の閉鎖感が強く、息漏れがありません。
息漏れが起きるのは声帯の閉鎖が弱いということなので、閉鎖筋を鍛えましょう。
まとめ
いかがでしょうか。
ミックスボイスの習得は地声と裏声をしっかり鍛えることが必須です。
そこで閉鎖筋や輪状甲状筋などミックスボイスに必要な筋肉が鍛えられ、次第に発声できるようになります。
とはいえ、一朝一夕で身に付く話ではないので、モチベーションを保ちながら練習することをおすすめします。